ねこのこのこねこ
父に会いに行くと、腰を丸めて、机にもたれていることがよくあります。
ごろごろと喉を鳴らす声が聞こえてきそうに思います。
私が、まるで猫のようだね。と声をかけますと、
にゃーーぁ!
と、父は猫の鳴く声の真似をします。
ほんものの猫のようです。
車いすでの生活になってから、父はすっかり寒がりになってしまいました。
ほんもの猫です。
私は、暖かい日を選んで、父を外に誘います。
気ままな猫になってしまった父は、寒いと嫌がって出てくれないからです。
外へ出て、気ままな散歩に付き合います。
そのままテラスに立ち寄ることもあれば、花壇に向かうこともあります。
先日は貯水タンクが気になったようで、ずっと、タンクを眺めていました。
貯水タンクの前で、日の光に目を細めながら、日向ぼっこをしている父の姿は、小さく、柔らかく、それでいて強い生命力をもった猫のように私の目には見えました。
愛おしくて、そっと背中を撫でた私に、
にゃーーーあ!
父が猫の真似をして応えました。
やっぱり猫だ 笑